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第32回はり師きゅう師国家試験
臨床医学各論 解答&解説

問題49 介護保険施設でノロウイルス感染症が発生した。感染を拡大させないための対応として適切なのはどれか。
  1. 感染者の居室は次亜塩酸ナトリウムを清拭する。
  2. 感染者の吐物は乾燥してから処理する。
  3. 感染者が使用したリネンは60℃の加熱処理を行う。
  4. 感染者が使用した食器はアルコール清拭する。

ノロウイルスの失活性には、エタノールや逆性石鹸はあまり効果がないため、次亜塩素酸ナトリウムが有効です。患者の弁や嘔吐などからの感染により起こります。

解答:1

問題50 アルツハイマー病で正しいのはどれか。
  1. ラクナ梗塞の多発により発症する。
  2. アミロイドβ蛋白質が蓄積する。
  3. 初期には記銘力障害がみられない。
  4. MRI検査では前頭葉の萎縮が特徴的である。

ラクナ梗塞の多発により発症するのは、血管性認知症やパーキンソン症候群です。

この病気が引き起こされる機序として、現在最も支持されているものはアミロイド仮説です。アミロイドβが増えることが原因で発現する神経毒素はあ、シナプスの機能不全を引き起こし、認知症の症状が出現します。

解答:2

問題51 ギラン・バレー症候群について正しいのはどれか。
  1. 中年女性に多い。
  2. 遺伝性疾患である。
  3. 骨格筋に病因がある。
  4. 先行感染を認めることが多い。

ギランバレー症候群は、カンピロバクターなどの感染症の数週間後に生じる末梢神経障害です。

小児から成人まで男女を問わず起こります。

解答:4

問題52 水痘の症状はどれか。
  1. 耳下腺の腫脹
  2. 両頬性のびまん性紅斑
  3. 水疱へと進行する紅斑
  4. 解熱前後の斑状丘疹性発疹

水痘とは、水痘帯状疱疹ウイルスの初感染による感染症です。

発熱・全身倦怠感とともに体幹・顔面を中心に紅斑が出現し、その数日後に紅斑→水疱→痂皮形成の発疹が混在してみられます。

解答:3

問題53 急性骨髄白血病について正しいのはどれか。
  1. 幼若芽球が増殖する。
  2. 小児に多くみられる。
  3. 細菌感染が関係する。
  4. ミエロペルオキシダーゼ染色は陰性である。

急性白血病は、50歳以上の高齢男性に好発する、多くが原因不明の悪性腫瘍です。末梢血で、幼若白血球の増殖や、ミエロペルオキシダーゼ染色陽性などの所見がみられます。

解答:1

問題54 気管支拡張症について正しいのはどれか。
  1. 気道の変化は不可逆性である。
  2. 小児喘息の既往をもつことが多い。
  3. 喀血をきたすことはない。
  4. 治療は抗菌薬を短期投与する。

何らかの原因で、末梢の気道が感染や炎症を繰り返し、不可逆な拡張をきたした病態です。

気管支動脈が増生し、破綻し出血することによる喀血をきたすことがあり、治療として、マクロライド少量長期療法という、マクロライド系の抗菌薬を長期に渡り投与する方法が用いられます。

解答:1

問題55 肺結核について正しいのはどれか。
  1. 空気感染する。
  2. 治療薬は単剤を用いる。
  3. 感染すると半数が発病する。
  4. 我が国の2021年の新規発症患者数は1,000人以下である。

空気感染するのは、結核・麻疹・水疱

治療は多剤併用療法

発病するのは10~20%

新規発症患者数は12739人

解答:1

問題56 鉄欠乏性貧血について正しいのはどれか。
  1. 大球性貧血である。
  2. 正色素性貧血である。
  3. 総鉄結合能は低下する。
  4. 鉄剤投与によって網状赤血球は増加する。

鉄欠乏性貧血とは、鉄の欠乏によりヘモグロビンの合成が低下して起こる貧血です。

小球性低色素性貧血であり、鉄を必要とするため、総鉄結合能は上昇します。

網状赤血球とは、造血が盛んに行われていることを示す指標となります。鉄欠乏性貧血では、鉄剤投与により造血が盛んに行われると増加します。

解答:4

問題57 出血性素因について正しいのはどれか。
  1. 一次血栓はフィブリンで構成される。
  2. 血液凝固反応にはビタミンCが重要である。
  3. 血友病は男性には認められない。
  4. 特発性血小板減少性紫斑病は自己免疫疾患である。

出血性素因とは、普通であれば出血しない刺激や、何もしていなくても出血し、血液が止まらなくなる状態です。

一次血栓は、別名血小板血栓といい、血小板により作られます。二次止血は別名血液凝固と呼ばれ、血液凝固因子とカルシウムが関与します。

血友病は遺伝性疾患であり、伴性劣性遺伝であるため、ほとんど男性にしか認められません。

特発性血小板減少性紫斑病は、免疫性血小板減少性紫斑病とも言い、免疫学的機序による血小板の破壊亢進の結果、血小板減少と出血傾向をきたす疾患です。

解答:4

問題58 ネフローゼ症候群について正しいのはどれか。
  1. 血清コレステロールが低値となる。
  2. 低蛋白質血症を認める。
  3. 蛋白質は陰性である。
  4. 小児では予後不良である。

高度のタンパク尿をはじめとして、浮腫や低タンパク血症、高コレステロール血症を呈する疾患の総称です。

解答:2

問題59 ビタミンB1欠乏でみられるのはどれか。
  1. ペラグラ
  2. 萎縮性胃炎
  3. 巨赤芽球性貧血
  4. 多発性末梢神経障害
  1. ペラグラは、ナイアシン欠乏が原因で生じます。皮膚炎・下痢・認知症の症状が出現します。
  2. 萎縮性胃炎は、ピロリ菌感染胃炎の大半で認められます。胃粘膜が薄くなります。
  3. 巨赤芽球性貧血は、骨髄に巨赤芽球が出現する貧血のことです。葉酸やビタミンB12の欠乏で生じます。
  4. ビタミンB1には、神経機能を正常に保つ作用があります。これが欠乏すると多発性末梢神経障害に陥り、脚気などが生じます。

解答:4

問題60 AEDによる徐細胞の適応となる不整脈はどれか。
  1. 心室細動
  2. 心房細動
  3. 心室性期外収縮
  4. 上室性期外収縮

AEDとは、心室細動や無脈性心室頻拍に対し電気ショックを与え、心機能を回復するための医療機器です。

解答:1

問題61 左心不全の身体的所見はどれか。
  1.  腹水
  2. 下肢の浮腫
  3. 肝腫大
  4. 起坐呼吸

血液は、左心→全身→右心→肺→左心 の順で流れます。

腹水・下肢の浮腫・肝腫大は、全身の血液が右心に流れ込むことができずに生じる症状です。起坐呼吸は、肺の血液が左心に流れ込むことができずに生じる症状です。

解答:4

問題62 急性心筋梗塞で上昇する血液検査項目として最も適切なのはどれか。
  1. γ-GTP
  2. ALP
  3. ALT
  4. AST

γ-GTPとALPは、胆汁中に排泄されるため、胆汁の鬱滞を反映する物質です。

 

解答:4

問題63 L5神経根障害の所見として誤っているのはどれか。
  1. 足背の知覚障害
  2. アキレス腱反射消失
  3. 足関節背屈筋力低下
  4. SLRテスト陽性

L5領域は、下腿前面〜足背(第1・2指背側)です。坐骨神経の枝である総腓骨神経が支配する領域に存在します。

解答:2

問題64 原発性悪性骨腫瘍で最も頻度が高いのはどれか。
  1. 骨肉腫
  2. 軟骨肉腫
  3. ユーイング肉腫
  4. 脊索腫

原発性悪性骨腫瘍で最も頻度が高いと言われている疾患は、多発性骨髄腫ですが、これは、骨内の骨髄細胞の腫瘍であるとみなされることが多いため、これを除くと骨肉腫が最も多い原発性悪性骨腫瘍です。

解答:1

問題65 胃食道逆流症について正しいのはどれか。
  1. るいそう患者に好発する。
  2. 近年減少傾向である。
  3. 一過性下部食道括約筋弛緩が関与する。
  4. 生命予後は不良である。

胃食道逆流症とは、胃の内容物が食道や口腔内に逆流している状態です。胃内容物の逆流防止に重要な、下部食道括約筋が弛緩することで胃の内容物が逆流します。

解答:3

問題66 ウイルス性肝炎と感染経路の組み合わせで正しいのはどれか。
  1. A型肝炎ーーーー感染血液への曝露
  2. B型肝炎ーーーー分娩時の垂直感染
  3. C型肝炎ーーーー獣肉の生食
  4. E型肝炎ーーーー生鮮魚介類の摂取

肝炎の感染経路まとめ

解答:2

問題67 膵癌のリスクファクターとして正しいのはどれか。
  1. 高血圧症
  2. 脂質異常症
  3. 高尿酸血症
  4. 糖尿病

膵癌は、遺伝や糖尿病が危険因子となります。

解答:4

問題68 パニック障害の症状はどれか。
  1. 予期不安
  2. 妄 想
  3. 幻 聴
  4. させられ体験

パニック障害とは、身体や認知面での症状を伴う強い不快感・不安・恐怖が突然に、個別に、短時間発現する現象です。

解答:1

問題69 緑内障について最も適切なのはどれか。
  1. 水晶体が混濁する。
  2. 細菌感染症である。
  3. 失明の原因となる。
  4. 中心視野から障害される。

緑内障とは、眼圧の上昇により視神経が損傷されることにより、まだら状に視野欠損が生じ、最終的には失明に至る可能性のある疾患です。

解答:3

問題70 乳癌について正しいのはどれか。
  1. 腫瘤は痛みを伴う。
  2. 乳房の外下部の発生が多い。
  3. 多くはホルモン依存性である。
  4. 乳房全摘術が第一選択である。

乳癌は、遺伝やホルモンにより発症リスクが高くなります。このうち、90~95%はホルモンにより発症します。多くは外上部、腋窩部に痛みのない腫瘤が生じ、治療としては乳房温存療法が好まれます。

解答:3

【監修者】 鍼灸学博士 納部瑠夏

鍼灸系の大学院を修了し、鍼灸治療の専門家の証である「鍼灸学博士」を保持。

reCare道玄坂鍼灸院の院長として臨床を行う傍ら、福岡リゾート&スポーツ専門学校で非常勤講師として教鞭を行っている。

一般社団法人日本体力医学会公益財団法人全日本鍼灸学会所属

保有資格

鍼灸学博士、はり師・きゅう師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、健康運動実践指導者

主な研究業績

【共同執筆者】

今西 好海

  保有資格 鍼灸学修士、はり師・きゅう師、健康運動実践指導者

奈須 守洋

  保有資格 鍼灸学修士、はり師・きゅう師