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第31回はり師きゅう師国家試験
東洋医学臨床論 解答&解説

問題 127
医療面接の態度について最も適切なのはどれか。
1. 患者の正面に座る。
2. 患者の話を共感的に聴く。
3. 導入は閉ざされた質問から行う。
4. アドヒアランスよりコンプライアンスを目指す。

解説

1.誤り
正面は対立的・圧迫的な印象を与えることがあり、一般には 斜め前(約45度) が望ましいとされています。

2.正解

医療面接の基本姿勢です。
患者の感情・価値観を理解しようとする。
うなずき、相づち、共感的言語を用いる。
信頼関係(ラポール)形成につながる。

3.誤り

面接の導入では「今日はどうされましたか?」など開かれた質問が原則。
閉ざされた質問(はい/いいえで答える質問)は情報収集の後半で用います。

4.誤り
現在の医療ではコンプライアンス(医療者の指示に従う)より、
アドヒアランス(患者の理解・納得・主体性)が重視されます。

解答:2

問題 128
腰椎前弯の増強を改善する目的で行う体操はどれか。
1. コッドマン体操
2. バージャー体操
3. フレンケル体操
4. ウィリアムス体操

解説

1.誤り
肩関節疾患(五十肩など)に用いる
振り子運動による肩関節の可動域改善・除痛が目的。腰椎前弯とは無関係。

2.誤り

主に末梢循環障害(閉塞性動脈硬化症など)に対する体操
下肢挙上・下垂を繰り返し血流改善を図る。腰椎前弯の矯正目的ではない。

3.誤り
運動失調(小脳性・感覚性失調)に対する訓練
視覚を利用した協調運動訓練。姿勢矯正や腰椎前弯改善が目的ではない。

4.誤り

腰椎前弯の増強を抑制する体操
腹筋・殿筋強化、腰椎屈曲運動が中心
腰椎前弯が強い人(反り腰、腰痛)に有効

解答:4

問題 129
 左手中指のしびれを訴える患者に第 6 ・第 7 頸椎棘突起間の左外方に刺鍼し症状が改善した。本症例の検査所見として最も適切なのはどれか。
1. ファレンテスト陽性
2. 上腕三頭筋反射減弱
3. 中指伸展テスト陽性
4. エデンテスト陽性

解説
考え方(病態整理)
左手中指のしびれ → 主に C7神経根障害 を示唆
C6–C7棘突起間外方 → C7神経根レベルへのアプローチ
C7神経根障害でみられる代表的所見
中指の感覚障害、上腕三頭筋(C7)筋力低下、上腕三頭筋反射の低下
 

1.誤り
手根管症候群の検査
正中神経障害(母指〜環指橈側のしびれ)が対象。頸椎神経根障害とは一致しない。

2.正解
 
上腕三頭筋反射は C7神経根で評価
中指のしびれ(C7)と整合性が高い

3.誤り

中指伸展で疼痛誘発
外側上顆炎(テニス肘)に関連する検査
頸椎由来のしびれとは関連が薄い

4.誤り
 
胸郭出口症候群の検査
鎖骨下動脈・腕神経叢の圧迫評価。中指単独の神経根症状とは一致しない。 

解答:2

問題 130
次の文で示す症例で障害神経根として最も適切なのはどれか。「45歳の男性。荷物の搬送中に腰に激痛が走り、右下肢に痛みが生じている。近医にて腰椎椎間板ヘルニアと診断された。しゃがんだ状態から立ち上がる際に右膝の力が入らない。」
1. L4
2. L5
3. S1
4. S2

解説

症例のポイント整理
腰椎椎間板ヘルニア
右下肢痛(坐骨神経痛様)
しゃがんだ姿勢から立ち上がる際に右膝の力が入らない
 重要なのは「立ち上がる時に膝に力が入らない」=膝伸展筋力低下

1.正解

大腿四頭筋支配、膝伸展が困難、しゃがみ→立ち上がりができないという症状に合致

2.誤り

足関節背屈、母趾伸展が主
つまずきやすい、下垂足が主症状。膝の力が入らないとは一致しない

3.誤り
足関節底屈(つま先立ち)、アキレス腱反射低下。立ち上がり初動の膝伸展とは異なる

4.誤り
会陰部感覚、膀胱直腸機能など。 本症例とは無関係 

解答:1

問題 131
 上後腸骨棘と大転子近位端を結んだ線の中点から垂直下方に 1 ~ 2
横指下がったところを局所刺鍼点とすべき疾患で、陽性となる徒手検査法として最も適切なのはどれか。
1. エリーテスト
2. パトリックテスト
3. フライバーグテスト
4. ボンネットテスト

解説

まず刺鍼点から疾患を特定します。

「上後腸骨棘(PSIS)と大転子近位端を結んだ線の中点から垂直下方に 1~2横指」
これは 梨状筋部(梨状筋下孔付近) を示す代表的な局所点です。
想定される疾患は梨状筋症候群
 

梨状筋症候群のポイント
坐骨神経が梨状筋で絞扼される
殿部痛、坐骨神経痛様症状
股関節の内旋・内転で症状増悪

 

1.誤り

大腿神経伸張テスト、大腿前面痛 → L2~L4神経根障害

2.誤り
股関節・仙腸関節障害の評価、
股関節屈曲・外転・外旋

3.正解

股関節 内旋で梨状筋を伸張、坐骨神経痛が誘発される。梨状筋症候群で陽性。刺鍼点・疾患・検査が一致。

4.誤り

股関節屈曲・内転・内旋、梨状筋症候群で用いられることもあるが代表性・一致度はフライバーグテストが最適

解答:3

問題 132
アレルギー性鼻炎について正しいのはどれか。
1. 他のアレルギー疾患は随伴しない。
2. 粘液性の鼻汁がみられる。
3. 片側性鼻閉が主となる。
4. 鼻腔内の痒みを認めることが多い。

解説

1.誤り
アレルギー性鼻炎は気管支喘息・アトピー性皮膚炎・結膜炎 など他のⅠ型アレルギー疾患を合併しやすい

2.誤り

アレルギー性鼻炎の鼻汁は水様性(さらさら)
粘液性・膿性鼻汁は副鼻腔炎など感染症を疑う

3.誤り

アレルギー性鼻炎では両側性鼻閉 が基本
片側性鼻閉は鼻中隔弯曲、腫瘍などを疑う

4.正解

Ⅰ型アレルギー反応によるヒスタミン放出
典型症状
くしゃみ発作、水様性鼻汁、鼻閉、鼻の痒み

解答:4

問題 133
末梢神経麻痺における罹患神経と麻痺筋の組合せで正しいのはどれか。
1. 橈骨神経-円回内筋
2. 正中神経-母指内転筋
3. 尺骨神経-掌側骨間筋
4. 肩甲上神経-僧帽筋

解説

 

1.誤り
橈骨神経麻痺では、下垂手がみられる。手関節・手指の伸筋群と、長母指外転筋・短母指伸筋の麻痺により、手関節背屈、示指から小指のMP関節伸展、母指伸展・外転が困難となる。円回内筋の【起始】上腕頭:上腕骨内側上顆と内側上腕筋間中隔、尺骨頭:尺骨鈎状突起内側、【停止】橈骨外側面の中央部、【作用】肘関節回内、屈曲、【支配神経】正中神経(C6,C7)である。

2.誤り
正中神経麻痺とは、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる麻痺である。ファーレン徴候(Phalen徴候)とは、手首を曲げて症状の再現性をみる検査である。perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。母指内転筋の【起始】横頭:第3中手骨掌面の全長、斜頭:有頭骨を中心とした手根骨、第2~3中手骨底の掌側面、【停止】種子骨、母指基節骨底、一部は指背腱膜、【作用】母指内転、【支配神経】尺骨神経深枝:C8,(T1)である。

3.正解
尺骨神経麻痺とは、尺骨神経損傷により手掌・背の尺側に感覚障害やFroment徴候陽性、鷲手がみられる麻痺である。Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。掌側骨間筋の【起始】4個ある。それぞれ2頭もつ。第1~5中手骨の相対する面、【停止】基節骨、指背腱膜、中節骨底、末節骨底、【作用】第2,4指の外転、第3指の橈・尺側外転。母指の内転。掌側骨間筋と共同しておのおのの基節骨の屈曲、中節・末節骨(DIP)の伸展、【神経】尺骨神経(C8,T1)である。

4.誤り
肩甲上神経絞扼障害とは、バレーボールショルダーともいい、肩甲上神経が、肩甲骨の肩甲切痕または棘窩切痕という箇所を通過するところで絞扼されることで起こる障害である。肩の痛みや腕が挙がりにくくなるなどの症状が現れる。また、肩の後面から腕にかけて放散する痛みがある。肩甲上神経支配の筋肉は、棘上筋と棘下筋の支配神経である。
棘上筋の【起始】肩甲骨の棘上窩、棘上筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の上部、【作用】肩関節外転、【神経】肩甲上神経である。
棘下筋の【起始】肩甲骨の棘下窩、棘下筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の中部、【作用】肩関節外旋、上部は外転、下部は内転、【神経】肩甲上神経である。

解答:3

問題 134
糖尿病性末梢神経障害に特徴的な所見はどれか。
1. 両側内果の振動覚低下
2. 宙吊り型の解離性感覚障害
3. 下肢から上行性に広がる弛緩性麻痺
4. しびれより筋力低下が顕著な上肢の神経障害

解説

 

1.正解
両側内果の振動覚低下は、糖尿病性末梢神経障害に特徴的な所見である。
糖尿病の合併症(糖尿病性末梢神経障害)は、いわゆる手袋靴下型の感覚障害を引き起こす。左右対称に手袋・靴下型に異常感覚をきたしやすく、糖尿病足病変にも注意が必要である。振動覚の低下やアキレス腱反射の消失も糖尿病性末梢神経障害の特徴である。

2.誤り
解離性感覚障害とは、温痛覚解離ともいい温痛覚のみが障害されることをいう。したがって、脊髄が部分的に損傷した場合に生じるブラウンセカール症候群(Brown–Séquard症候群)や前脊髄動脈症候などによって引き起こされる。

3.誤り
ギラン・バレー症候群とは、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)。

4.誤り
中心性頸髄損傷は、転倒などにより、脊髄全体に外力が加わり、中心に近い脊髄灰白質が障害されたものである。高齢者において、脊椎の変形あるいは後縦靭帯骨化症などを合併して脊柱管狭窄をきたしている場合に、中心性頸髄損傷が発生しやすい。交通事故などの頸髄損傷に比べ、機能予後はよいが、下肢より上肢の運動障害が顕著であり、上肢の障害は残存することが多い。なぜなら、下肢に比べて上肢の錐体路の方が脊髄中心近くを通るためである。

解答:1

問題 135
次の文で示す症例で将来起こりうる徴候はどれか。「生後 6か月の乳児。仰臥位で寝かせたときに右の大腿皮膚溝が左と比べて数が多く、深く、長い。右股関節の開排制限もある。」
1. アリス徴候
2.ガワーズ徴候
3. レルミット徴候
4. ロンベルグ徴候

解説

 

1.正解
アリス徴候は、背臥位で両膝を屈曲しながら、股関節を屈曲して両下腿をそろえ、左右の膝の高さを比べる診察法である。膝の高さに差があるときに陽性と診断し、股関節脱臼を疑う。これは、股関節の脱臼が生じると大腿骨頭が寛骨臼の後方に位置するため、左右差が生じる。一方、両側脱臼例や下肢に骨性の短縮が存在する症例の場合、有効ではないため注意が必要である。

2.誤り
ガワーズ徴候(登はん性起立)とは、立ち上がる際に手を膝でおさえつつ、体を起こしていく方法である。筋ジストロフィーとは、骨格筋の変性・壊死と筋力低下を主徴とする遺伝性の疾患総称である。そのうちのDuchenne型筋ジストロフィーは、X連鎖劣性遺伝で①幼児期から始まる筋力低下、②動揺性歩行、③登攀性起立(ガワーズ徴候)、④腓腹筋などの仮性肥大を特徴とする。筋ジストロフィー症の中でもっとも頻度が高い。3歳頃に歩行や粗大運動の異常で気がつかれることが多い。

3.誤り
レルミット徴候は、頚部屈曲時に感電したような痛みや刺すような痛みが、背中から両脚、片方の腕、体の片側へ走ることをいう。多発性硬化症に特徴的な症状であるが、他にも頚髄症、椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍なども出現する。

4.誤り
ロンベルグ徴候は、脊髄性障害(深部感覚の検査)に対して行う。ロンベルグ徴候は、①はじめは開眼にて、患者に直立不動の姿勢をとらせ、安定した姿勢保持が可能であることを確かめる。②次に、閉眼させ、体幹の動揺が生じたり、動揺が明らかに増悪、あるいは転倒した場合を陽性とする。

解答:1

問題 136
 次の文で示す症例で最も適切な所見はどれか。「40歳の女性。半年前から回転性のめまい発作に苦しむ。耳鳴り、難聴、耳閉塞感が生じる。悪心・嘔吐を伴うこともある。カロリックテスト陰性。」
1. 失調性歩行がみられる。
2.難聴は感音性である。
3. グリセロール検査は陰性である。
4. 特定の頭位でめまい発作が生じる。

解説

不適切問題。おそらくメニエール病としての問題だった。
メニエール病は、膜迷路を満たしている内リンパ液の内圧が上昇し、内リンパ水腫が生じる内耳疾患である。4大症状として、①激しい回転性のめまい、②難聴(感音難聴)、③耳鳴り、④耳閉感を繰り返す内耳の疾患である。主な原因は「内リンパ水腫」で、 その根底にはストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などがあると考えられている。耳発作時では安静を第一に考えた指導を行い、間欠期では発作が起こらないようにするための指導をする。

解答:1~4

問題 137
高齢者に対する評価法とその内容の組合せで最も適切なのはどれか。
1. タイムドアップアンドゴーテスト-主観的 QOL
2.ファンクショナルリーチテスト-ADL
3. バーセル・インデックス-立位動的バランスの状態
4. ロコモ度テスト-年齢相応の移動能力

解説

 

1.誤り
タイムドアップアンドゴーテストは、「主観的QOL」ではなく運動器不安定症の指標である。
下肢の筋力、バランス、歩行能力、易転倒性といった日常生活機能との関連性が高いことが示唆されている。ちなみに、カットオフ値は14秒程度である。

2.誤り
ファンクショナルリーチテストは、「ADL」ではなく立位動的バランスの状態である。
ファンクショナルリーチテストは、立位で、足が前に出たり浮いたりせず、水平方向に上肢をできるだけ伸ばす。平均25~30cmであり、30cm以上では転倒リスクは低い。一方、20cm未満だと非常にバランスを崩しやすく危険な状態、20〜25cmで転倒リスクありと判断できる。

3.誤り
バーセル・インデックスは、「立位動的バランスの状態」ではなく日常生活活動(ADL)である。
バーセル・インデックスの評価項目は、10項目(①食事、②椅子とベッド間の移乗、③整容、④トイレ動作、⑤入浴、⑥移動、⑦階段昇降、⑧更衣、⑨排便コントロール、⑩排尿コントロール)あり、100点満点で評価される。

4.正解
ロコモ度テストとは、①下肢筋力、②歩幅、③身体状態・生活状況を評価する 3 つのテストを行い、これらのテスト結果を年齢平均値と比較することによって、年齢相応の移動能力を維持しているかを判定するものである。もし年齢相応の移動能力に達していない場合、将来ロコモとなり得る危険度が高いと考えられる。

解答:4

問題 138
次の文で示す症例で考えられる疾患はどれか。「65歳の女性。軽度の肥満。主訴は膝痛。膝の内側が動作開始時や疲労時に痛む。膝のロッキングはみられない。」
1. 腸脛靱帯炎
2.内側滑膜ひだ障害(タナ障害)
3. 変形性膝関節症
4. 膝蓋靱帯炎

解説

 

1.誤り
腸脛靱帯炎は、痛みの部位が膝外側となる。
腸脛靱帯炎とは、ランナー膝ともいい、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生している状態を指す。特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。ちなみに、グラスピングテストは、腸脛靭帯を圧迫してテンションをかけた状態で、膝の曲げ伸ばしで症状が再現されるかどうかで判断する。

2.誤り
内側滑膜ひだ障害(タナ障害)は、クリック音が認められる。
滑膜ヒダとは、膝関節の関節包内にあるひだ状の部分で、膝の屈伸時にクリック音を触知する特徴がある。ほかにも、運動時に疼痛や違和感を生じる。膝関節の膝蓋内側滑膜ヒダが屈伸運動時に膝蓋骨と大腿骨内側顆との間に挟まり機能的刺激を受けて肥厚する。内側滑膜ヒダは関節鏡で見ると棚のようにみえることから、タナ障害とも呼ぶ。

3.正解
変形性膝関節症は、本症例で考えられる疾患である。
変形性膝関節症は、①疼痛、②可動域制限、③腫脹、④関節変形などがみられる。進行度にかかわらず、保存療法が第一選択となる。減量や膝に負荷のかかる動作を回避するような日常生活動作指導、筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法、装具や足底板などの装具療法、鎮痛薬や関節内注射などの薬物療法が行われる。

4.誤り
膝蓋靱帯炎は、痛みの部位が膝蓋靭帯となる。
大腿四頭筋腱炎とは、(ジャンパー膝:膝蓋靭帯炎)ともいい、反復したジャンプ動作によって起こる。バレーボール・バスケットボールの選手などに多く発症し、膝蓋骨遠位部に圧痛を認める。

解答:3

問題 139
次の文で示す症例で障害筋への局所治療穴として最も適切なのはどれか。「53歳の男性。最近、長時間歩くと、足がつる。今朝は、ウォーキング中に母指が屈曲する筋けいれんとともに下腿後面の深部に疼痛が生じたが、しばらく休むと軽快した。」
1. 飛 揚
2.膝 関
3. 合 陽
4. 外 丘

解説

・最近:長時間歩くと、足がつる。
・今朝:ウォーキング中に母指が屈曲する筋(長母趾屈筋)けいれんとともに下腿後面の深部に疼痛が生じた。
・しばらく休むと軽快した。
上記内容は下腿後面深層の筋(特に長母趾屈筋)の筋けいれん・疲労または脊柱管狭窄症を疑います。

1.正解
飛揚は、本症例で障害筋への局所治療穴である。

飛揚は、下腿後外側、腓腹筋外側頭下縁とアキレス腱の間、崑崙の上方7寸。
飛揚は、腓腹筋とヒラメ筋が障害筋の場合に用いる。母指が屈曲する筋として、長母趾屈筋があげられる。長母趾屈筋の【起始】腓骨体後面(内側稜と後縁との間)、後下腿筋間中隔の下半、【停止】母趾の末節骨底、【作用】足関節底屈、母趾屈曲、【支配神経】脛骨神経(L5~S2)である。

2.誤り
膝関は、薄筋半腱様筋が障害筋の場合に用いる。
膝関は、下腿脛骨面、脛骨内側顆の下方、陰陵泉の後方1寸。

3.誤り
合陽は、腓腹筋が障害筋の場合に用いる。
合陽より優先される選択肢が他にある。合陽は、下腿後面、腓腹筋外側頭と内側頭の間、膝窩横紋の下方2寸。

4.誤り
外丘は、長腓骨筋が障害筋の場合に用いる。
外丘は、下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方7寸。

解答:1

問題 140
詐病が疑われる腰痛患者に対して、坐位で膝を他動的に伸展させるのはどれか。
1. ケンプ徴候
2.サギング徴候
3. フリップ徴候
4. ブラガードテスト

解説

詐病とは?
詐病とは、経済的または社会的な利益の享受などを目的として病気であるかのように偽る詐偽行為である。


1.誤り
方法:体幹を後屈+側屈+回旋陽性所見:腰椎椎間関節症、腰部脊柱管狭窄症など

2.誤り
体位:仰臥位
方法:膝屈曲位で脛骨粗面の前方突出が消失
評価:後十字靱帯損傷
膝関節の検査であり腰痛とは関係なし

3.正解
体位:坐位
方法:膝を他動的に伸展
意義:
本来、坐位で膝を伸ばしても坐骨神経は強く伸張されないにもかかわらず強い疼痛を訴える場合、詐病や誇張を疑う。 問題文と完全一致

4.誤り
体位:仰臥位
方法:SLRテスト後、足関節背屈を追加
評価:坐骨神経根症
坐位では行わない

解答:3

問題 141
 こめかみがズキズキする頭痛に対して九刺の遠道刺を用いて治療する場合、最も適切な経穴はどれか。
1. 頷 厭
2.太 陽
3. 合 谷
4. 陽陵泉

解説

 

遠道刺は、病が上にあるとき、膝周囲や下合穴を刺す。

下合穴は、胆:陽陵泉【胆】、小腸:下巨虚【胃】、胃:足三里【胃】、大腸:上巨虚【胃】、膀胱:委中【膀】、三焦:委陽【膀】があげられる。

1.誤り
頷厭は、頭部、頭維と曲鬢を結ぶ(側頭の髪際に沿った)曲線上、頭維から1/4にある。

2.誤り
太陽は、顔面部、眉毛の外端と外眼角との中央から後方1寸の陥凹部に取る。※別名:当容

3.誤り
合谷は、手背、第2中手骨中点の橈側にある。

4.正解
陽陵泉は、こめかみがズキズキする頭痛に対して九刺の遠道刺を用いて治療する場合、最も適切な経穴である。
陽陵泉は、下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部にある。

解答:4

問題 142
 命門火衰により冷えを訴える患者に対し、臓腑を考慮して施灸する場合、最も適切な経穴はどれか。
1. 太 淵
2.神 門
3. 太 渓
4. 衝 陽

解説
命門火衰とは、腎陽虚の重症のケースといわれている。命門の火(元陽)が不足し、全身の機能が衰えた状態のことである。
 

1.誤り
太淵は、手関節前外側、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部にある。

2.誤り
神門は、手関節前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋上にある。

3.正解
太渓は、命門火衰により冷えを訴える患者に対し、臓腑を考慮して施灸する場合、最も適切な経穴である。
なぜなら、太渓は、腎経であるため。命門火衰は、腎陽虚のことである。太渓は、足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部にある。

4.誤り
衝陽は、足背、第2中足骨底部と中間楔状骨の間、足背動脈拍動部にある。

解答:3

問題 143
次の文で示す病証が進行した場合、みられやすい症状はどれか。「39歳の女性。主訴は眼精疲労。長時間のデスクワークで目がかすむ。日頃から眠りが浅く、爪の血色が悪い。舌苔は薄白、脈は細数を帯びてきた。」
1. 消 渇
2.盗 汗
3. 厭 食
4. 譫 語

解説
本症例は、肝血虚の症状と陰虚がみられる。
肝血虚は、目乾、目花(目のかゆみ)、転筋、しびれ、不眠、多夢、脈細、舌質淡泊など。
陰虚(陰熱)は、ほてり、のぼせ、五心煩熱、手足身熱、盗汗、頬部紅潮、消痩、潮熱、舌質(紅)、舌苔(少)、脈(細脈)など。
 

1.誤り
消渇の特徴は、多飲、多食、多尿で糖尿病を指す言葉である。

2.正解
盗汗は、病証が進行した場合、みられやすい症状である。
盗汗とは、着替えが必要になるほどのひどい寝汗のことをさす。

3.誤り
厭食とは、悪心・嘔吐を伴う食欲不振である。拒食症にみられる。

4.誤り
譫語とは、発熱して正気を失ったときなどに無意識に発する言葉、うわごとのことである。

解答:2

問題 144
次の文で示す病証で最も適切なのはどれか。「31歳の男性。主訴は悪心・嘔吐。業務の繁忙とともに食欲がなくなり、上腹部の膨満感、胸脇部の脹痛を自覚するようになった。精神的な緊張によって噯気が頻回に起こる。脈は弦を認める。」
1. 気虚証
2.気陥証
3. 気脱証
4. 気逆証

解説

1.誤り
病態:気の量が不足
主症状:易疲労、倦怠感、息切れ、声が小さい
脈:虚・弱
本症例のような嘔吐・噯気・弦脈とは合致しない。

2.誤り
病態:気虚が進行し、気が下に落ちる
主症状:胃下垂、脱肛、子宮下垂
特徴:下垂感・内臓下垂
本症例は「上に逆行」しているため不適。

3.誤り

病態:気が急激に消耗した重篤状態
主症状:意識障害、冷汗、四肢冷感、脈微細・無力
救急レベルの証であり、臨床像が全く異なる。

4.正解
病態:気が本来の流れに逆らって上昇
主症状:悪心、嘔吐、噯気、咳・喘息(肺の気逆)
随伴所見:胸脇部脹痛、情志(ストレス)で悪化、弦脈

 

解答:4

問題 145
次の文で示す病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。「49歳の男性。主訴は食欲不振。空腹感はあるが多くは食べられない。胃脘部に我慢できる程度のはっきりしない痛みがある。舌質は紅を認める。」
1. 陰液を補う。
2.陽気を補う。
3. 気滞を除く。
4. 湿熱を除く。

解説

症例のポイント整理
食欲不振、空腹感はあるが多くは食べられない、胃脘部のはっきりしない痛み(隠痛)
舌質:紅
これらは 胃陰虚(陰液不足) を強く示唆します。

1.正解
病証:胃陰虚
根拠:空腹感があるのに食べられない胃の潤い不足
胃脘部の隠痛虚証の痛み
舌質紅→陰虚による虚熱
治療原則は滋陰養胃(陰液を補う)

2.誤り

対象:脾胃陽虚
主症状:食後の腹満、冷え、温めると楽
舌質淡・白苔➡ 本症例は 舌紅 のため逆。

3.誤り
対象:肝胃不和・気滞
主症状:脹満感、張るような痛み、情志で悪化、噯気が多い本症例は

隠痛+虚証所見 が主体。

4.誤り

主症状:口渇、口苦、口臭、舌苔黄膩
湿熱の典型所見はない。

 

ポイント
空腹感あり+食べられない → 胃陰虚

隠痛(鈍痛)=虚証
舌紅=陰虚・熱象
治療原則:滋陰・養胃
➡ 正解は 1.陰液を補う


解答:1

問題 146
次の文で示す臓腑病証に対し、その郄穴に迎随の補瀉に基づき斜刺する場合、鍼尖の方向にある経穴として適切なのはどれか。「30 歳の男性。 3日前に愛車に落書きをされて怒りが収まらず、顔面の痛みとのぼせも出てきた。夜も眠れず目が赤い。舌質は紅、脈は弦数を認める。」
1. 蠡 溝
2.膝 関
3. 承 山
4. 条 口

解説

症例の要点
怒りが収まらない(情志:)、顔面の痛み・のぼせ、不眠、目が赤い、舌質:紅、脈:弦数
これは肝火上炎(肝の実熱・熱証) の典型像です。
 

治療条件の整理
対象:肝の臓腑病証
使用穴:郄穴
刺法:迎随の補瀉に基づく斜刺

実証 → 迎法(瀉法)
気の流れに逆らって刺す
つまり肝経の郄穴で、瀉法を行う
 

1.正解
蠡溝(足の厥陰肝経の郄穴
本症例の郄穴に迎随の補瀉に基づき斜刺する場合、鍼尖の方向にある経穴である。

瀉法は、流注とは逆方向へ向ける。蠡溝は、下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方5寸する。

2.誤り
膝関(足の厥陰肝経)
補法で、流注方向へ向ける。膝関は、下腿脛骨面、脛骨内側顆の下方、陰陵泉の後方1寸である。

3.誤り
承山(足の太陽膀胱経
承山は、下腿後面、腓腹筋筋腹とアキレス腱の移行部にある。

4.誤り
条口(足の陽明胃経
条口は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方8寸にある。

解答:1

問題 147
 次の文で示す病証でみられる痛みの性質はどれか。「53歳の男性。主訴は肩関節痛。過労により食欲減退が続き、倦怠感とともに肩が痛みだした。痛みは慢性に経過し、息切れ、自汗を伴う。舌質は淡、舌苔は薄白、脈は細弱を認める。」
1. 隠 痛
2.刺 痛
3. 脹 痛
4. 重 痛

解説
本症例のポイント

・過労により食欲減退が続き、倦怠感とともに肩が痛みだした。
・痛み:慢性経過、息切れ自汗を伴う。
・舌質:淡、舌苔:薄白、脈:細弱。
本症例は、気虚(倦怠感、無力感、眩暈、息切れ、懶言、自汗、易感冒など)がみられる。


1.正解
隠痛は、虚証にみられる痛みの性質である。よって正解。

2.誤り
刺痛は、瘀血にみられる痛みの性質である。瘀血(おけつ)とは、血液が汚れたり、滞ったり、固まりやすくなった状態のことである。瘀血になると、血の流れが悪くなり、全身に栄養が行き渡らなくなるため、さまざまな症状が現れやすくなる。

3.誤り
脹痛は、気滞にみられる痛みの性質である。(気鬱)気滞は、脹痛、胸悶、胸肋部痛、抑鬱感、腹部膨満感などで、増悪と緩解を繰り返し、不安定となりやすい。

4.誤り
重痛は、湿邪にみられる痛みの性質である。陰性の邪気で重濁性、粘滞性、下注性がある。脾を損傷しやすい。気機を滞らせやすい。

解答:1

問題 148
膀胱湿熱でみられるのはどれか。
1. 遺 尿
2.癃 閉
3. 余 瀝
4. 小便自利

解説
膀胱湿熱とは?

膀胱に湿熱が停滞することで、膀胱の能力が低下し、炎症症状が現れやすくなることである。症状として、頻尿、尿意促迫、隆閉、排尿痛、血尿、小便短赤、舌質紅、脈滑数などである。
 

1.誤り
これは、腎気不固の症状である。ちなみに、遺尿とは、昼夜を問わず尿を漏らす病態のことである。
原因:腎気虚、脾気虚、膀胱虚寒 など虚証が中心

2.正解
癃閉(りゅうへい)は、膀胱湿熱でみられる。
症状は、尿の勢いが悪くなる、尿が出始めるまでに時間がかかる、尿が出終わるまでに時間がかかる、排尿の途中で尿が途切れる、などの排尿困難や、頻尿(特に夜間頻尿)、会陰部の不快感、尿意切迫感、残尿感、排尿直後の尿漏れ(排尿後尿滴下)、尿失禁などある。

3.誤り
余瀝(よれき)とは、器の底に残った酒や汁などのしずく、残りのしたたりのことである。尿がきちんと止まらない症状を指す。

4.誤り
小便自利(しょうべんじり)とは、小便不利に対して逆に尿量の多すぎるもことをいう。

解答:2

問題 149
次の文で示す病証を八脈交会穴を用いて治療する場合、取穴部位として正しいのはどれか。「帯下があり、腹部の皮膚のかゆみ、下腿前側のひきつりがみられる。」
1. 足背、第 4 ・第 5 中足骨底接合部の遠位
2.足外側、外果尖の直下
3. 足内側、内果尖の下方 1 寸
4. 足内側、第 1 中足骨底内側の遠位陥凹部

解説
ポイント

帯下(おりもののこと)があり、腹部の皮膚のかゆみ、下腿前側のひきつりがみられる。
気経八脈では
任脈は陰経を調節し、胞胎を主る(
月経・妊娠・出産の調節
また、陰蹻脈は下肢・体幹の両側の陰陽を調節する。(今回のような下腿ぜんそく)
したがって、【任脈】列欠ー照海【陰蹻脈】が適切である。

1.誤り
足背、第4・第5中足骨底接合部の遠位は、「足臨泣【帯脈】」である。

帯脈は、季肋部から起こり腰部を回る。各経脈を束ねて調節する。

2.誤り
足外側、外果尖の直下は、「申脈【陽蹻脈】」である。
陽蹻脈は、下肢の内・外側に分布する陰経と陽経を協調させる。

3.正解
足内側、内果尖の下方1寸は、「照海【陰蹻脈】」である。
陰蹻脈は下肢・体幹の両側の陰陽を調節する。

4.誤り
足内側、第1中足骨底内側の遠位陥凹部は、「公孫【衝脈】」である。
衝脈は、十二経脈の気血を調節し(十二経の海)、血を貯える(血海)。胞宮から起こり、月経に関与する。

解答:3

問題 150

次の文で示す病証の治療方針として最も適切なのはどれか。「47歳の女性。最近よく口渇を感じるが、水分は口を潤す程度で少量しか飲めない。手足の皮膚が鮫肌になってきた。舌質は紫暗、脈は濇を認める。」

1. 風邪を除く。
2.瘀血を除く。
3. 痰湿を除く
4. 気滞を除く。

解説
最近よく口渇を感じるが、水分は口を潤す程度で少量しか飲めない
・手足の皮膚が鮫肌になってきた。
・舌質は紫暗、脈はを認める。
本症例は、瘀血の状態と言える。
 

1.誤り
六淫のうちのひとつである風邪は、陽性の邪気で軽揚性、開泄性、遊走性があり、他の外邪の先導役となる(百病の長)。

2.正解
正しい。瘀血を除くことで改善する。

3.誤り
気の病証のひとつである痰湿(津液の停滞)は、湿・水:(身体が重だるい、浮腫、下痢)など、飲:腹鳴、動悸、喘息、浮腫など、痰:眩暈、咳嗽、頭痛、動棒、意識障害、精神障害などの状態をいう。

4.誤り
気の病証のひとつである気鬱(気滞)は、脹痛、胸悶、胸肋部痛、抑鬱感、腹部膨満感などをいう。増悪と緩解を繰り返し、不安定となりやすい。

解答:2

【監修者】 鍼灸学博士 納部瑠夏

鍼灸系の大学院を修了し、鍼灸治療の専門家の証である「鍼灸学博士」を保持。

reCare道玄坂鍼灸院の院長として臨床を行う傍ら、福岡リゾート&スポーツ専門学校で非常勤講師として教鞭を行っている。

一般社団法人日本体力医学会公益財団法人全日本鍼灸学会所属

保有資格

鍼灸学博士、はり師・きゅう師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、健康運動実践指導者

主な研究業績

【共同執筆者】

今西 好海

  保有資格 鍼灸学修士、はり師・きゅう師、健康運動実践指導者

奈須 守洋

  保有資格 鍼灸学修士、はり師・きゅう師