reCare道玄坂鍼灸院:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-14-9 ソシアル道玄坂501
渋谷マークシティから徒歩30秒 駐車場:無

お気軽にご予約・お問合せください

03-6416-0361

第31回はり師きゅう師国家試験
病理学 解答&解説

問題 33
パーキンソン病の病因に関与するのはどれか。
1. コルチゾール
2. セロトニン
3. インスリン
4. ドパミン

解説

1.誤り
分泌場所:副腎皮質
主な作用:糖新生の促進、抗炎症作用、ストレス反応
分泌過多 → クッシング症候群

分泌低下 → アジソン病(副腎皮質機能低下症)

 

2.誤り
分泌場所:中枢神経(縫線核)・消化管粘膜など
主な作用:情動・睡眠・食欲・痛みの抑制
低下 → うつ病

増加 → セロトニン症候群(薬物性)
パーキンソン病ではなく、精神・感情の調整に関与。

3.誤り
分泌場所:膵臓β細胞(ランゲルハンス島)
主な作用:血糖を下げる(糖を細胞内に取り込む)
分泌不足 → 糖尿病(特に1型)
抵抗性 → 2型糖尿病

4.正解
分泌場所:中脳黒質 → 線条体(黒質線条体系)
主な作用:運動の調節、快感・意欲の維持
減少 → パーキンソン病
増加 → 統合失調症(幻覚・妄想)

 

パーキンソン病の原因
パーキンソン病は、中脳の 黒質(substantia nigra) にあるドパミン産生神経細胞の変性・脱落 により発症します。その結果、大脳基底核でのドパミン不足 が起こり、運動の調節がうまくできなくなります。

主な症状(4大症候)

症状 説明
振戦(しんせん) 安静時に手がふるえる(「ピル・ローリング様振戦」)
筋固縮(きんこしゅく) 筋肉がこわばる(鉛管様抵抗)
無動・寡動 動作が遅くなる、表情が乏しい
姿勢反射障害 転びやすくなる、歩行時に小刻みになる

 関連する神経伝達物質

物質 主な作用 パーキンソン病との関係
ドパミン 運動調節(興奮性) ⬇ 減少 → 症状出現
アセチルコリン 抑制性(ドパミンと拮抗) ⬆ 相対的に優位になる
セロトニン 情動・睡眠などに関与 直接的な原因ではない
コルチゾール 副腎皮質ホルモン、ストレス応答 関係なし
インスリン 血糖降下ホルモン 関係なし


治療の基本
欠乏している ドパミンを補う ことが中心。
代表薬:L-ドパ(レボドパ)
その他:ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬など。

解答:4

問題 34
梗塞について正しいのはどれか。
1. 組織間隙に過剰な水分が貯留した状態
2.動脈から過剰な血液が流れ込んだ状態
3. 血管内で血液が凝固した状態
4. 終末動脈が閉塞し、その支配組織に壊死が生じた状態

解説

1.誤り
組織間隙に過剰な水分が貯留した状態 → 浮腫(むくみ)
定義:血管外(組織間)に水分が異常に貯まる状態。
原因:心不全、腎不全、低タンパク血症など。
 梗塞ではないので誤り

2.誤り

動脈から過剰な血液が流れ込んだ状態 → 充血
定義:動脈血が局所に増加した状態。
種類:
生理的充血(運動時・消化時)、病的充血(炎症など)
 梗塞では血流が「減少・途絶」しているので逆。誤りである。

3.誤り

血管内で血液が凝固した状態 → 血栓(けっせん)
定義:生体内の血管内で血液が固まり、血流を阻害すること。
関連疾患:心筋梗塞・脳梗塞などの原因になり得る。
血栓は「原因」であって、「梗塞そのもの」ではない。

4.正解

終末動脈が閉塞し、その支配組織に壊死が生じた状態 → 梗塞
定義: 血流が完全に遮断され、酸素や栄養が供給されず組織が壊死する状態。
代表例:
筋梗塞(冠動脈の閉塞)、脳梗塞(脳動脈の閉塞
「終末動脈」とは:側副血行(バイパス)がほとんどない動脈のこと。

解答:4

問題 35
血栓症を生じやすい疾患はどれか。
1. 肝硬変
2.糖尿病
3. 再生不良性貧血
4. ビタミンC欠乏症

解説

1.誤り

肝硬変 → 出血傾向
肝臓は血液凝固因子のほとんどを産生。
肝硬変では凝固因子産生低下 → 出血傾向 が強い。
血栓症より出血リスクが高い。

2.正解

糖尿病 → 血栓症リスク増加
高血糖 → 血管内皮障害や血小板活性化 → 動脈硬化進行
血流が乱れやすく、血栓形成しやすい。
動脈血栓(心筋梗塞、脳梗塞)や静脈血栓症リスクも上昇。

3.誤り

再生不良性貧血 → 出血傾向
骨髄の造血能低下 → 血小板減少 → 出血傾向
血栓症より出血リスク。

4.誤り

ビタミンC欠乏症 → 出血傾向
ビタミンC欠乏 → コラーゲン合成障害 → 血管壁脆弱 → 壊血病
出血や皮下出血がみられる。
血栓症ではない。

まとめ

疾患 血栓症リスク メモ
肝硬変 × 凝固因子低下で出血傾向
糖尿病 高血糖による血管障害で血栓形成しやすい
再生不良性貧血 × 血小板減少で出血傾向
ビタミンC欠乏症 × 血管脆弱で出血傾向

解答:2

問題 36
肉芽腫性炎はどれか。
1. アレルギー性鼻炎
2.壊 疽
3. 肝膿瘍
4. サルコイドーシス

解説

肉芽腫性炎とは慢性炎症の一種で、炎症細胞(マクロファージ・リンパ球)が集合して 肉芽腫 を形成するもの。
原因は主に感染(結核など)や非感染性(サルコイドーシス)

1.誤り
アレルギー性鼻炎について

定義:IgE依存性の即時型アレルギー反応
炎症は好酸球主体で、肉芽腫は形成されない。

2.誤り

壊疽について
組織の壊死により黒変した状態

炎症の形態ではなく、感染や虚血が原因
肉芽腫は形成されない。

3.誤り

肝膿瘍について 
細菌感染による膿形成
好中球主体の化膿性炎
肉芽腫性炎ではない。
 

4.正解
 サルコイドーシス について

全身性の肉芽腫性疾患
非乾酪性肉芽腫がリンパ節・肺などに形成される
原因は不明(自己免疫や遺伝的要因が関与)

まとめ

 

解答:4

問題 37
初感染における免疫応答で最初に血中で上昇するのはどれか。
1. IgA
2.IgE
3. IgG
4. IgM

解説

1.誤り
粘膜に多い抗体(涙・唾液・腸管など)。
初期上昇ではなく、局所免疫で重要。

2.誤り

アレルギー反応や寄生虫感染で上昇。
初感染時に最初に上昇する抗体ではない。

3.誤り
二次免疫応答で主に上昇する抗体
長期的な免疫・記憶に関わり、一番多い抗体だが、初期には遅れて上昇する。

4.正解

初感染で最初に産生され、血中で上昇する抗体。
五量体であり、抗原への結合力が強い。

急性期の感染判定に利用される(IgM陽性=最近の感染)。

解答:4

問題 38
2019年の我が国におけるがん死亡統計で男性死亡数が最も多いのはどれか。
1. 肺がん
2.肝臓がん
3. 膵臓がん
4. 大腸がん

解説

1.正解
2019年の男性がん死亡数で 最も多い
喫煙との関連が強く、進行してから見つかることも多いため死亡率が高い。

2.誤り

男性に多いが、2019年時点では 死亡数は肺がん・大腸がんより少ない
B型・C型肝炎などが主因。

3.誤り

予後不良で死亡率は高いが、発生数自体が1位ではないため総死亡数は肺がんより少ない。

4.誤り
男性の死亡数では 2位
肺がんには及ばないが、増加傾向にある。

解答:1

【監修者】 鍼灸学博士 納部瑠夏

鍼灸系の大学院を修了し、鍼灸治療の専門家の証である「鍼灸学博士」を保持。

reCare道玄坂鍼灸院の院長として臨床を行う傍ら、福岡リゾート&スポーツ専門学校で非常勤講師として教鞭を行っている。

一般社団法人日本体力医学会公益財団法人全日本鍼灸学会所属

保有資格

鍼灸学博士、はり師・きゅう師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、健康運動実践指導者

主な研究業績

【共同執筆者】

今西 好海

  保有資格 鍼灸学修士、はり師・きゅう師、健康運動実践指導者

奈須 守洋

  保有資格 鍼灸学修士、はり師・きゅう師