reCare道玄坂鍼灸院:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-14-9 ソシアル道玄坂501
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第31回はり師きゅう師国家試験
リハビリテーション医学 解答&解説

問題 71
リハビリテーションに重点が置かれている施設はどれか。
1. ケアハウス
2.グループホーム
3. 介護老人保健施設
4. 特別養護老人ホーム

解説
1.誤り
生活支援が中心

軽度の高齢者向けの入居施設。
リハビリが中心ではない。

2.誤り
認知症高齢者向けの小規模施設
「認知症対応型共同生活介護」
家庭的な環境で生活をサポートする施設であり、
リハビリが重点ではない。

3.正解
老健は自宅復帰在宅生活を続けるための支援のために リハビリテーションが中心 となる施設。
医師・看護師・リハビリ職が常駐し、集中的にリハビリを行う。

4.誤り
生活介護・長期入所が中心
要介護度が高く、常時介護が必要な人の施設。
リハビリは提供されるが、老健のように“リハビリ中心”ではない。

解答:3

問題 72
回復期リハビリテーション病棟で医療チームの主な構成メンバーとなるのはどれか。
1. 保健師
2.ケアマネジャー
3. 柔道整復師
4. 医療ソーシャルワーカー

解説
1.誤り
地域の保健サービスが主な仕事。
病院のリハビリチームの“主メンバー”には通常含まれない。

2.誤り
介護保険サービスのケアプラン作成が主な役割。
病棟スタッフではないため、
回復期リハ病棟の医療チームには入らない。

3.誤り
医療機関ではリハビリ職として配置されない。

回復期リハのチーム構成職種(医師、看護師、PT/OT/STなど)には含まれない。

4.正解
回復期リハでは、退院支援や社会復帰支援が非常に重要で、MSW(医療ソーシャルワーカー)は
退院調整、社会資源の紹介、家族支援を担うため 主要メンバー に含まれる。

 

解答:4

問題 73
FIMの運動項目のうちセルフケアに該当するのはどれか。
1. 整 容
2.排便管理
3. 書 字
4. 料 理

解説
1.正解
FIM(Functional Independence Measure)の「運動項目」には
セルフケア6項目 があり、その中に整容が含まれる。
セルフケアの構成:食事、整容、清拭、更衣(上半身/下半身)、トイレ動作

2.誤り
セルフケアではなく 排泄コントロール に分類。

3.誤り
 FIMの項目ではない。

4.誤り
FIM項目には存在しない(日常的なIADLに相当)。

解答:1

問題 74
リハビリテーション治療に携わる職種と内容の組合せで正しいのはどれか。
1. 理学療法士-嚥下訓練
2.作業療法士-利き手交換訓練
3. 義肢装具士-義足での歩行訓練
4. 看護師-食事用自助具の作製

解説
1.誤り
嚥下(飲み込み)訓練は 言語聴覚士(ST) の領域。
PT は歩行訓練や関節可動域・筋力訓練などの身体機能が中心。

2.正解
脳卒中による麻痺や上肢機能低下がある場合に、
利き手を非利き手へ変更するトレーニング を行うのは作業療法士。
作業動作・日常生活動作(ADL)の訓練が専門。

3.誤り
義肢装具士は義足や装具の 作製・調整 が仕事。
義足での歩行訓練を行うのは 理学療法士(PT)

4.誤り
食事動作を支援するための自助具の作製・選定は主に 作業療法士(OT) が担当。

解答:2

問題 75
肩関節の回旋運動について正しいのはどれか。
1. 大胸筋は外旋に働く。
2.小円筋は内旋に働く。
3. 肩甲下筋は内旋に働く。
4. 棘下筋は内旋に働く。

解説
1.誤り
大胸筋は 内旋・内転・屈曲の作用を持つ。
外旋とは逆。

2.誤り
小円筋はローテーターカフの一つで 外旋 に働く。
棘下筋とともに外旋を担当。

3.正解
肩甲下筋はローテーターカフの一つで、
肩関節の強力な内旋筋

4.誤り
棘下筋もローテーターカフで、小円筋と同じく 外旋筋

解答:3

問題 76
脳卒中に対するブルンストロームステージで「共同運動がわずかに出現し、痙縮が出始める段階」はどれか。
1. ステージⅠ
2. ステージⅡ
3. ステージⅣ
4. ステージⅥ

解説
1.誤り
完全弛緩(弛緩性麻痺)の段階。
痙縮も随意運動もみられない。

2.正解
ステージ II はわずかな随意運動が出始める(共同運動)、痙縮が出現し始める段階とされ、回復の初期。

3.誤り
共同運動パターンから少しずつ 分離運動が可能になる段階。
痙縮は徐々に減少し始める。

4.誤り
ほぼ正常に近い随意運動が可能となる最終段階。痙縮はほぼ消失。

解答:2

問題 77
第5頸髄節残存の頸髄損傷患者に可能な動作はどれか。
1. 肩関節外転
2. 肘関節伸展
3. 手関節背屈
4. 手指屈曲

解説
1.正解
C5 で支配される主な筋
三角筋(肩外転)、上腕二頭筋(肘屈曲)、肩甲挙筋・菱形筋(肩甲骨の動き)
よって 肩関節外転は可能

2.誤り
肘伸展は上腕三頭筋(C7支配)
 C5 では 不可

3.誤り
手関節の背屈は長橈側手根伸筋など(主に C6)
C5 では まだ難しい

4.誤り
手指屈曲は深指屈筋(C8)
C5 では 不可

まとめ(C5損傷でできること)
肩外転(◯)、肘屈曲(◯)、肘伸展(×)、手首&手指動作(×)

解答:1

問題 78
幻肢について正しいのはどれか。
1. 幻肢痛は心理的な要因も関連している。
2.幻肢痛は消炎鎮痛剤の投与で改善する。
3. 幻肢は時間経過とともにその範囲が広がる。
4. 幻肢の頻度は上肢切断に比べて下肢切断で高い。

解説
1.正解
幻肢痛は末梢神経の変化、脊髄・脳の可塑的変化、ストレスや不安などの心理的要因が影響する複合的な痛み。
よって 正しい

2.誤り
通常の NSAIDs(ロキソニンなど)は 幻肢痛に あまり効果がない
効果があることが多いのは抗うつ薬、抗てんかん薬(ガバペン、プレガバリン)、TENS、鏡療法など。

3.誤り
多くの場合、時間とともに縮小、感覚が薄れていく。広がることは一般的ではない。

4.誤り
一般的には上肢切断の方が幻肢・幻肢痛が多いとされる。

解答:1

問題 79

痙直型脳性麻痺児の特徴的な下肢変形はどれか。

1. 股関節外転
2.股関節伸展
3. 足関節底屈
4. 足関節背屈

解説
1.誤り
痙直型では股内転筋の痙縮。股関節内転拘縮を起こしやすい。外転ではない。

2.誤り
実際には腸腰筋の緊張低下、股屈曲拘縮が多く、伸展拘縮は典型ではない

3.正解
痙直型CPでは下腿三頭筋の緊張が亢進し尖足(足関節底屈)が典型。
歩行ではつま先立ちのような姿勢になる。最も代表的な変形。

4.誤り
痙直型では背屈(前脛骨筋)の緊張より底屈(下腿三頭筋)の緊張が強いので背屈変形は起こりにくい

解答:3

問題 80
疾患と換気障害の組合せで正しいのはどれか。
1. 気管支喘息-拘束性換気障害
2.肺線維症-拘束性換気障害
3. 高位頸髄損傷-閉塞性換気障害
4. 筋ジストロフィー-閉塞性換気障害

解説
1.誤り
喘息は気道の炎症・浮腫・気管支収縮による 気道の狭窄 がメイン。
よって 閉塞性換気障害(1秒率↓) が代表的。拘束性ではない。

2.正解
肺線維症は肺が硬くなるため、膨らみにくくなる。
結果として 肺活量(VC)や全肺気量(TLC)が低下。 拘束性換気障害 の典型。

3.誤り
高位頸髄損傷は横隔膜・肋間筋などの呼吸筋麻痺を起こす。
肺が広がらなくなるため拘束性換気障害(肺活量↓) が起きる。
気道閉塞があるわけではないので閉塞性ではない。

4.誤り
筋ジストロフィーも呼吸筋の筋力低下が原因。
肺が十分に拡張できない拘束性換気障害(肺活量↓) を呈する。
気道そのものは狭くならないため閉塞性ではない。

解答:2

問題 81

関節リウマチによる関節変形の組合せで正しいのはどれか。

1. 手関節-背側脱臼
2.膝-反張膝
3. 足 部-内反足
4. 頸 椎-環軸関節亜脱臼

解説
1.誤り
関節リウマチで手関節は橈側偏位、尺側偏位、掌側脱臼(手根骨の掌側亜脱臼)が起こりやすい。
背側脱臼はRAの典型ではない。

2.誤り

関節リウマチの膝は滑膜炎 → 関節破壊 → 不安定となるが、典型は外反膝(X脚)、滑膜肥厚による屈曲拘縮であり、反張膝(過伸展)はRAの特徴ではない。むしろ 膝OA や筋力低下でみられやすい

3.誤り
関節リウマチの足部の代表的変形は外反母趾(外反)、足趾の槌趾・強剛母趾、扁平足、開張足などで、
むしろ「外反」が特徴。内反足はRAではなく、脳性麻痺などで見られやすい。

4.正解
関節リウマチは C1-C2(環椎・軸椎)間 の滑膜炎が起こりやすく、靱帯の弛緩や骨破壊によって環軸関節亜脱臼(AAS:atlantoaxial subluxation)が生じる。
これは重症化すると脊髄圧迫から脊髄症、四肢麻痺、呼吸障害 を起こすことがあるため要注意。

解答:4

問題 82
パーキンソン病において、立ち直り反射の障害やバランスの不安定性がある重症度でのリハビリテーション治療で最も適切なのはどれか。
1. 呼吸訓練
2.線またぎ訓練
3. 体位変換
4. 自助具の導入

解説
1.誤り
パーキンソン病の進行に伴い姿勢異常(前傾姿勢)、肺活量の低下が見られるため呼吸訓練は行うことはあるが、
立ち直り反射障害・バランス不安定に対しての主要な訓練ではない。

2.正解

パーキンソン病の中等度〜進行期で見られる無動、小刻み歩行、すくみ足に対し、有効な訓練。
線またぎ訓練は視覚的手がかり(キューイング)を使って一歩を大きく出す、すくみ足を改善
歩行のリズムを改善、バランス能力の向上につながる。立ち直り反射障害の補助として最も適切。

3.誤り

寝たきりレベルや拘縮予防で必要になるが、立ち直り反射が障害されている歩行レベルの患者への主訓練ではない。

4.誤り
食事・更衣などのADL向上には有効だが、

バランス障害やすくみ足の改善には直接関与しない。

解答:2

【監修者】 鍼灸学博士 納部瑠夏

鍼灸系の大学院を修了し、鍼灸治療の専門家の証である「鍼灸学博士」を保持。

reCare道玄坂鍼灸院の院長として臨床を行う傍ら、福岡リゾート&スポーツ専門学校で非常勤講師として教鞭を行っている。

一般社団法人日本体力医学会公益財団法人全日本鍼灸学会所属

保有資格

鍼灸学博士、はり師・きゅう師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、健康運動実践指導者

主な研究業績

【共同執筆者】

今西 好海

  保有資格 鍼灸学修士、はり師・きゅう師、健康運動実践指導者

奈須 守洋

  保有資格 鍼灸学修士、はり師・きゅう師