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第31回はり師きゅう師国家試験
生理学 解答&解説

問題 23
眼球について正しいのはどれか。
1. 視神経乳頭では視覚の感度が高い。
錐体細胞は主に明暗の識別に働く。
3. 眼房水はシュレム管に吸収される。
4. 副交感神経は瞳孔散大筋を支配する。

解説

1.誤り

視神経乳頭(盲点)は、視神経が網膜から出る部位であり、視細胞(桿体・錐体)が存在しません。
したがって 視覚の感度はゼロ(盲点) になります。

2.誤り

錐体細胞:色の識別・明るい場所での視覚(昼間視)
桿体細胞:明暗の識別・暗所での視覚(夜間視)
したがって、明暗を識別するのは桿体細胞です。


3.正解
眼房水は毛様体で産生され、
後房 → 瞳孔 → 前房 → 隅角(前房隅角)シュレム管(静脈洞)
を経て吸収され、静脈系へ戻ります。
※この排出が障害されると**眼圧上昇(緑内障)**の原因になります。

4.誤り

副交感神経 → 瞳孔括約筋(縮瞳)
交感神経 → 瞳孔散大筋(散瞳)
したがって逆です。

解答:3

問題 24
心臓の刺激伝導系について正しいのはどれか。
1. 固有心筋からなる。
2.刺激は房室結節からヒス束へと伝わる。
3. 房室結節は自動能をもたない。
4. プルキンエ線維の活動が心房を収縮させる。

解説

1.誤り
刺激伝導系(洞房結節・房室結節・ヒス束・プルキンエ線維など)は、
特殊心筋(刺激伝導筋線維)から構成されます。
→ 固有心筋(一般の心筋)とは異なります。

2.正解
洞房結節で発生した刺激は房室結節に伝わり、

そこからヒス束 → 右脚・左脚 → プルキンエ線維へ伝導します。

3.誤り
房室結節も自動能(自己で興奮を発生する能力)をもっています。
ただし、洞房結節よりも自動能が弱く、通常は洞房結節に従属しています。

4.誤り
プルキンエ線維は心室筋に分布しており、心室の収縮を起こします。
心房の収縮は洞房結節の刺激によって行われます。

解答:2

問題 25

消化管からの吸収について正しいのはどれか。

1. グルコースは胃で吸収される。
2.モノグリセリドは小腸で吸収される。
3. アミノ酸は結腸で吸収される。
4. 水分の約50%は直腸で吸収される。

解説

1.誤り
グルコース(ブドウ糖)は小腸上部(空腸)で吸収されます。
胃ではほとんど吸収されません(例外はアルコールなど一部のみ)。

2.正解
脂質は膵リパーゼにより分解され、

モノグリセリドと脂肪酸になります。
これらは 小腸の絨毛上皮細胞 で吸収され、再び中性脂肪に合成され、
キロミクロンとしてリンパ管へ送られます。

3.誤り
アミノ酸(タンパク質の最終分解産物)は小腸で吸収されます。

結腸では吸収されません。

4.誤り
水分の吸収の多く(約90%以上)は小腸で行われ、
残りの一部が大腸で吸収されます。
直腸ではほとんど吸収されません。

解答:2

問題 26
内分泌器官と分泌されるホルモンの組合せで正しいのはどれか。
1. 甲状腺-サイロキシン
2. 膵 臓-アドレナリン
3. 副腎髄質-エストロゲン
4. 卵 巣-インスリン

解説

内分泌器官 主な分泌ホルモン 主な作用
甲状腺 サイロキシン(T₄)・トリヨードチロニン(T₃) 代謝促進、成長・発達の促進
膵臓(ランゲルハンス島) インスリン・グルカゴン 血糖値の調節
副腎髄質 アドレナリン・ノルアドレナリン 交感神経様作用(心拍数上昇、血圧上昇)
卵巣 エストロゲン・プロゲステロン 女性の性周期・妊娠維持に関与

 

選択肢 内容 判定 解説
1. 甲状腺 − サイロキシン 正解 代謝促進ホルモン。ヨウ素を含み、体温や代謝を維持する。  
2. 膵臓 − アドレナリン 誤り アドレナリンは副腎髄質から分泌される。  
3. 副腎髄質 − エストロゲン 誤り エストロゲンは卵巣由来。副腎髄質はアドレナリンを分泌。  
4. 卵巣 − インスリン 誤り インスリンは膵臓のβ細胞から分泌される。  


まとめ甲状腺 → サイロキシン 
膵臓 → インスリン・グルカゴン
副腎髄質 → アドレナリン・ノルアドレナリン
卵巣 → エストロゲン・プロゲステロン

解答:1

問題 27
脂質について正しいのはどれか。
1. コレステロールはコルチゾールの前駆物質である。
2.リン脂質はヘモグロビンの構成成分である。
3. 中性脂肪は1分子のグリセロールと2分子の脂肪酸からなる。
4. 脂肪酸の多くは水溶性物質である。

解説

 

選択肢 判定 解説
1. コレステロールはコルチゾールの前駆物質である。 正解 コレステロールはステロイドホルモン(コルチゾール・アルドステロン・性ホルモンなど)の材料となる。副腎皮質ホルモンの合成に必須。
2. リン脂質はヘモグロビンの構成成分である。 誤り ヘモグロビンはタンパク質とヘム(鉄)で構成される。リン脂質は細胞膜の構成成分
3. 中性脂肪は1分子のグリセロールと2分子の脂肪酸からなる。 誤り 正しくは1分子のグリセロール+3分子の脂肪酸。これが「トリグリセリド」。
4. 脂肪酸の多くは水溶性物質である。 誤り 脂肪酸は**疎水性(脂溶性)**であり、水には溶けにくい。


まとめ
 脂質とは
脂質はエネルギー源や細胞膜の構成成分、ホルモンの材料などとして重要な物質群です。
主に次のように分類されます
単純脂質(中性脂肪など)
複合脂質(リン脂質、糖脂質など)
誘導脂質(コレステロール、脂肪酸など)

正しい関係 補足
コレステロール → ステロイドホルモン(コルチゾールなど)の材料 副腎皮質や性腺で利用される
リン脂質 → 細胞膜の構成要素 両親媒性(親水+疎水)
中性脂肪 → エネルギー貯蔵形態 グリセロール+3脂肪酸
脂肪酸 → 脂溶性物質 β酸化でエネルギー産生

 

解答:1

問題 28
糸球体ろ過量を増加させるのはどれか。
1. 腎血流量の低下
2.血中アルブミン濃度の上昇
3. 糸球体血圧の上昇
4. 尿管内圧の上昇

解説

 

選択肢 判定 解説
1. 腎血流量の低下 誤り 腎血流が減ると、糸球体への血液供給も減少し、糸球体血圧も下がる → GFRは低下。
2. 血中アルブミン濃度の上昇 誤り アルブミンが増えると血漿膠質浸透圧が上昇し、水がろ過されにくくなる → GFRは低下。
3. 糸球体血圧の上昇 正解 糸球体での濾過圧が上昇し、より多くの血漿がボウマン嚢へ → GFRは増加。
4. 尿管内圧の上昇 誤り 尿管結石などで尿路圧が上がるとボウマン嚢内圧も上昇し、GFRは低下。

糸球体ろ過量(GFR:Glomerular Filtration Rate)は、腎臓の糸球体で1分間にろ過される血漿量を示します。
GFR は主に次の3つの因子で決まります。

GFR∝(糸球体毛細血管圧−ボウマン嚢内圧−血漿膠質浸透圧)GFR \propto (糸球体毛細血管圧 - ボウマン嚢内圧 - 血漿膠質浸透圧)

つまり、糸球体毛細血管圧(糸球体血圧)↑ → GFR↑
    
ボウマン嚢内圧(尿管圧など)↑ → GFR↓
    
血漿膠質浸透圧(アルブミン↑)↑ → GFR↓

まとめ

増減要因 GFRへの影響
糸球体血圧 ↑ ⬆ 増加
腎血流量 ↓ ⬇ 低下
血中アルブミン ↑ ⬇ 低下
尿管圧 ↑ ⬇ 低下

解答:3

問題 29
膝蓋腱反射について正しいのはどれか。
1. 受容器は腱受容器である。
2.求心路はⅡ群線維である。
3. 脊髄反射である。
4. 多シナプス反射である。

解説

 

膝蓋腱反射(patellar tendon reflex) は、
大腿四頭筋(主に大腿直筋)の腱を叩くことで起こる 単シナプス性の伸張反射 です。
 

反射の流れ

 

  1. 受容器(筋紡錘) が膝蓋腱の伸張を感知

  2. 感覚ニューロン(Ⅰa群線維)が脊髄のL2〜L4へ信号を送る

  3. 運動ニューロンが同じレベルで興奮

  4. 大腿四頭筋が収縮 → 下腿が伸展(膝がピンと伸びる)

選択肢 判定 解説
1. 受容器は腱受容器である。 誤り 受容器は筋紡錘(筋受容器)であり、腱受容器(ゴルジ腱器官)は過伸展抑制に関与する別の反射。
2. 求心路はⅡ群線維である。 誤り 膝蓋腱反射の求心路はⅠa群線維(筋紡錘由来)。Ⅱ群線維は緩やかな伸張などに反応。
3. 脊髄反射である。 正解 反射弓が脊髄レベル(L2〜L4)で完結しており、脳を介さない。
4. 多シナプス反射である。 誤り 膝蓋腱反射は単シナプス反射(感覚ニューロンと運動ニューロンが1つのシナプスで接続)。
項目 内容
反射の種類 単シナプス性伸張反射
受容器 筋紡錘
求心路 Ⅰa群線維
中枢 脊髄L2〜L4
遠心路 α運動ニューロン
反応筋 大腿四頭筋

解答:3

問題 30
筋原線維に含まれ、筋収縮に重要な蛋白質はどれか。
1. アルブミン
2. ペプシン
3. アクチン
4. グロブリン

解説

選択肢 判定 解説
1. アルブミン 誤り 血漿タンパク。浸透圧維持・物質運搬を担う。筋収縮とは無関係。
2. ペプシン 誤り 胃液中の消化酵素(タンパク質分解)。筋収縮とは無関係。
3. アクチン 正解 筋収縮に直接関与する主要タンパク質。
4. グロブリン 誤り 血漿タンパクの一種。免疫や物質運搬に関与。


まとめ
アクチン(actin)
は、筋原線維を構成する主要なタンパク質のひとつで、
筋収縮に直接関与する「収縮タンパク質」 です。

種類 タンパク質名 主な働き
収縮タンパク質 アクチン、ミオシン 筋収縮の中心となる。ミオシンがアクチンを引き寄せて収縮。
調節タンパク質 トロポニン、トロポミオシン Ca²⁺濃度の変化でアクチン-ミオシンの結合を制御。
構造タンパク質 チチン、デスミンなど 筋原線維の位置や弾性を保つ。

細いフィラメント(thin filament)を構成。
ミオシン(太いフィラメント)と滑り合うことで筋収縮を起こす。
カルシウムイオンが増えると、トロポニン複合体の働きで、ミオシン頭部がアクチンと結合 → ATP分解で滑走運動。

項目 内容
主な収縮タンパク アクチン・ミオシン
アクチンの位置 細いフィラメント(Z線に付着)
収縮の原理 アクチンとミオシンの滑走運動
制御因子 Ca²⁺とトロポニン複合体

解答:3

問題 31
免疫にかかわる細胞について正しいのはどれか。
1. 単球は抗体を産生する。
2.好酸球はリンパ球に抗原を提示する。
3.好塩基球は形質細胞に分化する。
4. 好中球は食作用をもつ。

解説

 

選択肢 判定 解説
1. 単球は抗体を産生する。 抗体を産生するのは 形質細胞(Bリンパ球の分化形)。単球は食作用や抗原提示を行う。
2. 好酸球はリンパ球に抗原を提示する。 抗原提示を行うのは 樹状細胞・マクロファージ・B細胞。好酸球は寄生虫防御やアレルギー反応に関与。
3. 好塩基球は形質細胞に分化する。 好塩基球はアレルギー反応(ヒスタミン放出)に関与。形質細胞に分化するのはB細胞。
4. 好中球は食作用をもつ。 自然免疫の中心。細菌などを取り込み分解する。

まとめ

細胞 主な働き
好中球 食作用(細菌処理)
好酸球 寄生虫防御・アレルギー抑制
好塩基球 ヒスタミン放出・アレルギー反応
単球/マクロファージ 食作用・抗原提示
Bリンパ球 抗体産生(形質細胞に分化)
Tリンパ球 細胞性免疫・免疫応答調整

解答:4

問題 32
日内リズムについて正しいのはどれか。
1. 副腎皮質ホルモンの血中濃度は早朝が最も高い。
2. メラトニンの血中濃度は正午が最も高い。
3. 血糖値は夕食前が最も高い。
4. 直腸温は睡眠中が最も高い。

解説

選択肢 判定 解説
1. 副腎皮質ホルモンの血中濃度は早朝が最も高い。 正解 起床前後に分泌が増え、活動準備を整える。
2. メラトニンの血中濃度は正午が最も高い。 誤り 夜間(特に午前2〜3時ごろ)が最も高い。明るい光で分泌が抑制される。
3. 血糖値は夕食前が最も高い。 誤り 空腹時(食前)はむしろ低く、食後(特に食後30〜60分) に最も高くなる。
4. 直腸温は睡眠中が最も高い。 誤り 直腸温(深部体温)は夜間〜睡眠中に低下し、覚醒前に上昇 する。

まとめ:主な日内リズムの例

項目 高い時間帯 低い時間帯
コルチゾール 早朝(6〜8時) 夜間
メラトニン 深夜(2〜3時) 昼間
体温(直腸温) 夕方(18〜20時) 夜中(3〜5時)
成長ホルモン 深睡眠時(入眠後1〜2時間) 覚醒時

解答:1

【監修者】 鍼灸学博士 納部瑠夏

鍼灸系の大学院を修了し、鍼灸治療の専門家の証である「鍼灸学博士」を保持。

reCare道玄坂鍼灸院の院長として臨床を行う傍ら、福岡リゾート&スポーツ専門学校で非常勤講師として教鞭を行っている。

一般社団法人日本体力医学会公益財団法人全日本鍼灸学会所属

保有資格

鍼灸学博士、はり師・きゅう師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、健康運動実践指導者

主な研究業績

【共同執筆者】

今西 好海

  保有資格 鍼灸学修士、はり師・きゅう師、健康運動実践指導者

奈須 守洋

  保有資格 鍼灸学修士、はり師・きゅう師