腰痛に対する鍼治療の効果を調べた医学論文のまとめ

腰痛は「肩こり」とともに日本国民の多くが抱えている症状の一つです。厚生労働省の国民生活基礎調査では、国民の訴える症状のうち、男性の１位、女性の２位が腰痛となっています。この様に多くの国民が困っている腰痛は、ぎっくり腰などの急性腰痛と３か月以上症状が続く慢性腰痛に分けることができます。また症状の原因となる病気が有るか無いかに応じで、ヘルニアや脊柱管狭窄症などの原因が明らかな「特異的腰痛」と、原因が明らかではなく筋肉の緊張などにより起こる「非特異的腰痛」に分けることもできます。腰痛全体のうち約85％が原因がはっきりとしない「非特異的腰痛」であるとされています【Berman BM et al. N Engl J Med 2010】。鍼灸治療はヘルニアなどの「特異的腰痛」と、筋肉の緊張などの「非特異的腰痛」の両方に用いられていますが、今回は「非特異的腰痛」に対しての鍼灸治療の効果をまとめたコクランレビューの最新の論文を紹介します。

慢性非特異的腰痛に対する偽鍼の介入、無治療、または通常のケアと比較した時の本物の鍼治療の効果を評価すること

今回紹介するコクランレビューは「非特異的慢性腰痛」に対する鍼治療の効果をレビュー（評価）していくというものです。このレビューではまず、これまでに行われてきた様々な論文をインターネットなどで探し、32件の研究、計8,270名の被験者を対象としました。

本物の鍼治療は偽物の鍼治療の効果を比べていた7件の研究（1,483名の被験者が対象）をまとめた結果、本物の鍼治療は偽物の鍼治療と比べて、治療の7日間以内の短期間では痛みを和らげる効果があるとしています。つまり、治療を行ってから短期間のうちは、鍼治療を行う方が偽物の鍼治療よりも腰痛の痛み下げる効果があるということです。

短期間では鍼治療の方が腰部の痛みが減少していることが示されていますが、長期間の腰部の痛みを調べた論文はありませんでした。

鍼治療と無治療との効果を比べた５件の研究（2,960名の被験者が対象）をまとめた結果、本物の鍼治療は無治療とと比べて、治療直後および短期間では痛みを和らげる効果があるとしています。

中期あるいは長期間の腰部の痛みを調べた論文はありませんでしたので、その効果は不明です。

今回のレビューの対象となった研究では、実験中に鍼を刺す人（鍼灸師）が本物か偽物かをわからない状態にできていなかったことによる「バイアス」が含まれるため、研究の質が低いとしています。

このレビュー論文の結果をまとめると、様々なバイアスが含まれるとされていますが、鍼治療を行うことにより腰痛の痛みを和らげる効果がある可能性が示されていますので、鍼治療を行う価値があると考えることができます。

また、本物の鍼治療は何も治療をしない対象群よりも痛み減らし、腰の機能を改善という結果になっていますので、現在腰痛があり、積極的な治療を行っていない方は「鍼治療」を一度受けてみる価値があるかもしれません。

当院の「ハリケア」という治療コースでは、非特異的腰痛の原因として考えられている腰の筋肉に鍼を刺すことで、腰痛の原因へ直接アプローチします。そのため、鍼治療直後のその場で効果を実感して頂けます。

【鍼治療が初めて】という方でも、丁寧な説明を行った後に鍼治療を実施しますし、お手頃なお値段で鍼を受けることができますので、腰痛でお悩みの方は、是非一度お試しください。